2026.4月

職場内の無許可録音

最近、ハラスメント抑止や不法行為の防御のため、職場内で会話を録音する社員が増えています。無許可録音に対し、業務命令で中止し、従わない場合は懲戒処分することが可能でしょうか。

使用者には、労働契約上の指揮命令権及び施設管理権があります。職場の無許可録音を放置すると、自由闊達なコミュニケーションが阻害され、社員の委縮に繋がり、業務効率が低下します。

① 会社は従業員に対し、職場での無許可録音を禁止することができます。

② 中止命令に反して録音した者は、懲戒処分することができます。

【判例1】甲社事件(東京地裁立川支判平30.3.28)

A社員は、常にボイスレコーダーを所持して無許可録音を繰り返したため、中止命令を発したが、2度の弁明においても保身のため必要と主張し、譴責処分を受けて始末書の提出を命じられたにも関わらず反省なく、録音の継続を明記した始末書を提出したため、普通解雇した。

(参考)就業規則には、「録音禁止」の規定なし

【判決】会社は労働契約法上の指揮命令権及び施設管理権に基づき、職場内での録音を禁止する権限がある。無許可録音を放置すれば、自由な発言が阻害され、営業上の秘密漏洩にもつながりかねず、実害を有することは明らかである。

【判例2】ジャパンニジネスラボ事件(東京高判令元11.28)

B社員は、会社代表者の命令に反し、入社宣誓書にも反して、無許可録音を繰り返し、業務時間中に私的メールを多数発信してマスコミ等の外部関係者に事実と異なる会社の誹謗中傷を継続して、会社の名誉・信頼を棄損する行為に及んだため、雇止めをした。

【判決】B社員の録音行為は、マスコミ関係者らに適用するためとうかがわれるものであり、反省の念もなく、会社との信頼関係を破壊する行為に終始している。よって、雇用の継続は期待でいない十分な理由があり、雇止めは有効である。

職場での無許可録音は、社員間のコミュニケーションを破壊し、機密情報の持出にもつながりますので、毅然とした態度で中止を命じてください。中止を拒否する者は、懲戒処分の対象としてください。