2026.3月
職場内の監視カメラ設置
使用者に課せられた労働時間管理義務を把握するため、また金銭管理を行う部署での横領行為等の事前防止策として、監視カメラの設置が検討されることがあると思います。
今月は、監視カメラ設置の合法性について検討してみましょう。
論点は、以下の項目で示すとおり、業務上の必要性とプライバシーの比較衡量に尽きます。
(1) 設置目的・必要性
不正行為や盗難等の防止、勤怠管理(残業の事実確認・職務怠慢防止)、ハラスメントの把握といったものが考えられ、一見すると目的の正当性があるようにも思われます。
しかし、具体的な事案発生がない中での設置を必要性が高いと言えるのか、代替手段はないのかといった議論は必要です。
(2) 設置場所
職場内であっても共用の場所は、指導・注意を受ける場所であることを考えれば、プライバシー保護の要請が高い場所となります。防犯対策なら金庫等が見える場所、残業確認等であれば職場を俯瞰できるような場所が適当と思われます。休憩室(更衣室は不可)も業務遂行性がないので、合理性が否定されます。
(3) 撮影態様
Webカメラのように特定個人を継続監視するような設置は合理性が否定されます。
一人の従業員の席にカメラを向けるような設置は、威圧感を与え、プライバシー侵害にあたります。
職場全体の俯瞰位置が合理的な設置場所と言えるでしょう。また、金庫や重要保管庫の前面に限定したりする設置は合理性が高いと思われます。
(4) 画像の保管
保管画像を視認できる者が限定されていること、視認の必要な事案に限って画像確認が行われることといった「必要」と「確認権者」の限定が必要です。
では、個人情報保護法の観点から考えてみましょう。
顔画像は「個人情報」となるため、プラバシー侵害の問題をクリアしても、以下の個人情報保護法を順守しなければなりません。しかし、個人情報保護法では、原則として個人情報を取得するにあたって本人の同意を義務付けておらず、監視カメラの設置も会社が従業員同意を得る必要はありません。
- 利用目的の特定(カメラ設置の目的が共有されていれば、説明は不要)
- 利用目的の通知・公表(隠しカメラ等でなければ通知・公表不要)
- 適正取得(Webカメラは適正取得と言えない)
- 安全管理措置(データベース化せずに単に保管している場合は、安全措置不要)
労働法上も、就業規則にカメラ監視を規定し、従業員代表に事前説明する義務付けはありません。
