2025年5月

フリーランス新法

フリーランスガイドラインは、あくまでも独禁法や下請法(下請代金支払遅延等防止法)の解釈として、①独禁法による優越的地位の乱用禁止 ②下請法の適切な委託料の支払等が確保されてきましたが、フリーランス新法は、実態上の労働者性が否定される場合に労働関係法令が適用されないため、労働実態のない業務委託取引(通常の業務委託)にも必要な①取引条件の明確化 ②報酬の適正確保 ③ハラスメント防止 ④育児・介護の配慮といったものを確保するため、法律として適用しようというものです。つまり、業務委託といいながら労働実態のあるものは労働関係法令が適用され、労働実態のない業務委託取引をフリーランス新法により保護するものです。

よって、新法の内容は雇用に適用される幅広い従業員の保護のようなものではなく、業務の提供・報酬の支払い・ハラスメント防止・育児介護の配慮といった取引上の公平・公正を確保する内容となっています。

発注者は、
(1) 業務委託事業者

  ①個人事業主(従業員なし)
  ②人社長(法人)

    (2) 特定業務委託事業者

      ①個人事業者(従業員なし)
      ② 一人社長(法人)

    受注者は、
    (1) 特定受託事業者

      ①個人事業者(従業員なし)
      ②一人社長(法人)

    従業員とは、雇用保険被保険者をいいます。
    以上のように、フリーランス新法は、事業者が事業者(BtoB取引)に対して業務委託する場合をいい、単なる個人に対する業務委託は含みません。
    最後に誤解のないように繰り返しますが、フリーランス新法は、フリーランスに労災を確保するためにできた法律ではありません。

    フリーランスの労災

    フリーランスが建設の下請けに係った場合は、指揮命令系統があれば現場労災の適用を受けます。事業主として指揮命令のない形で現場労働に参加すれば、一人親方で特別加入が可能です。

    これ以外の場合は、フリーランスとして特別加入する、従業員がいれば中小事業主の特別加入を行うといったことになります。労働関係の実態(指揮命令・時間管理・拒否権・拘束性等)があれば、どのような場合も被雇用者の労災と同じ結果となります。

    今となっては、どのような働き方でも労災の保護が受けられる状況にあるといっても過言ではありません。

    ただ、特別加入という労災参加を知らない事業者・法人役員等も多いため、社労士は受任時に組織を正確に見極め、必要な助言を行う必要があります。