2026.9月

試用期間としての有期契約

今月は、本来は「試用期間」とすべきところを「有期契約」として、入社後の適性検証対策しようとする事業主様がいます。

法的な解釈は別として、表面上は以下の対応が可能なようにも思えます。

 ① 試用期間後の解雇(本採用拒否)は、権利乱用法理が適用される。

 ② 有期契約であれば、適性不足の場合、契約更新しなければ期間満了で退職となり、権利乱用法理が適用されない。

しかし、上記解釈はあまりにも会社身勝手な解釈です。有期契約が本当に「臨時需要に基づく、簡易な採用方法による補完職種」であれば問題ありませんが、適性があれば継続雇用することを前提に適性検証のためだけに有期契約をしても実態は「正社員採用」であり、次の判例が待ち受けています。

【判例】神戸広陵学園事件(最小判平2.6.5)

教員Aは、以下の条件で有期雇用された。

 (1) 契約期間:4月1日~翌年3月31日

 (2) 1年間の勤務状態を見て再雇用の判定を行うと説明を受けた

 (3) 身分は「常勤講師」として採用された

 (4) 5月中旬、学校から求められるままに以下の書面に署名・捺印した

   ① 上記(1)の期限付き常勤講師の採用

   ② 期間満了時、通告を要せず期間満了日に当然退職の効果が生じる

3月31日に学校は、期間満了通知を行ったため、教員Aは4月以降の賃金を求めて提訴した。

【判決】

使用者は、有期契約で採用するにあたり、期間を設けた主旨・目的が従業員の適性を判断するためのものであるときは、期間の満了によりその雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立する等の特段の事情が認められる場合を除き、この期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当である。

正社員と同等の採用方法で、恒常的業務を行う社員を有期契約で採用した場合、期間満了後の継続雇用を前提としたものであるから、正社員採用と何ら変わらず、この期間は試用期間に相当するということです。

回避するには、以下を明確にしてください。

① 求人票や雇用契約書において、「有期契約を明言・明記」し、「適性判断期間であって、正社員登用されない場合は、契約更新はない」と明記する。

② 正社員登用は、勤務成績を考慮し、使用者が正社員登用を通知した場合に限る。