2025.10 月
育児休業期間中の社会保険料免除
男性育休の取得率が40%を超え、一気呵成に職場の理解が進んだものだと驚かされます。
当初の育児休業給付金に加え、産後パパ育休(出生時育児休業)や出生後休業給付金といった短期的な加算金措置もあり、制度が複雑化して事業主の情報提供責任が難題となりつつあります。
今月は、育児休業給付金ではなく、育児休業中の社会保険料免除についてお話ししたいと思います。
育児休業期間中の社会保険料免除は、
① 育児休業等を開始した日の属する月から育児休業を終了する日の翌日が属する月の前月までの月
② 月内に、育児休業等日数が14日以上の場合はその月
補足事項として、「育児休業は1日でも成立する」ということを覚えてください。
上記ルールを理解すれば極端な例として、月末1日だけ育児休業すればその月の社会保険料は免除されるということです。
具体例
では、具体的な例を示していきます。
【例1】
① 育休開始日:2025年1月31日 育休終了日:2025年3月15
② 社会保険料免除月:1月・2月
【例2】
① 育休開始日:2025年1月31日 育休終了日:2025年3月31日
② 社会保険料免除月:1月・2月・3月
【例3】
① 育休開始日:2025年1月5日 育休終了日:2025年1月18日
② 社会保険料免除月:1月
【例4】
① 育休開始日:2025年1月5日 育休終了日:2025年1月17日
② 社会保険料免除月:なし(育児休業期間が14日未満)
育児休業期間中に就労があった場合はどうなるでしょうか。法文によれば、支給単位期間(休業開始日から1か月間)中の10日以内の就労は育児休業の継続とみなしますが、あらかじめ就労を予定していたような場合は、就労開始日に育児休業が終了したものと解釈されるおそれがありま
す。育児休業期間中の10日以内の就労は、突発的事情で本人がいないと職場が回らないというような事態での就労という意味です。
よって、この就労日も育児休業給付金の対象日です(ただし、賃金支給による減額措置で給付金は支給されません)。
【例1】
① 育休開始日:2025年1月18日 育休終了日:2025年3月20日
② 就労日(あらかじめ決めていた就労):1月31日
③ 社会保険料免除月:2月(1月31日が育休として算定されないため1月は対象外)
【例2】
① 育休開始日:2025年1月18日 育休終了日:2025年3月20日
② 就労日(本来は休業日の予定、急遽就労):1月31日
③ 社会保険料免除月:1月・2月
次に、育児休業期間に係る賞与の社会保険料免除はどうでしょうか。
① 賞与を受けた月の末日を含む、連続した1か月を超える育児休業をとっていること
② 賞与が支給された月の末日が、育児休業の対象期間に含まれていること
【例1】
① 育休開始日:2025年7月18日 育休終了日:2025年8月18日
② 賞与支給日:2025年7月10日(社会保険料免除)
賞与支給日:2025年8月10日(社会保険料免除なし)
賞与支給日:8月10日(免除なし:8月31日が育児休業に含まれていない)
【例2】
① 育休開始日:2025年7月31日 育休終了日:2025年9月10日
② 賞与支給日:2025年7月10日(社会保険料免除)
賞与支給日:2025年8月10日(社会保険料免除)
賞与支給日:2025年9月10日(社会保険料免除なし)
育児休業は利益を求めて取るものではありませんが、社会保険料免除のルールを知った上で若干の時期調整を行えば、福利厚生上有利になることも利用して頂ければと思います。