2025年6月

 即戦力採用の留意点

今回は、開業社労士専門誌SR78の記事を参考に即戦力採用にあたっての募集・面接・入社後の労務管理等に関する留意点を考えてみたいと思います。

即戦力採用で重要なことは、「求めるスキルが担保されること」です。通常の正社員採用であれば、業務能力については、今後の育成・成長という観点でみます。したがって、入社後の成果等について担保することはありません。まさに、雇用契約の特色である「債務は労働時間」という考え方です。即戦力採用では、雇用契約で債務(採用側の希望)を確定する

意味から、以下の流れが重要な意味を持ちます。

1.募集要項

  ① 職種限定採用であること

  ② 求める成果(定量的な営業成績・契約獲得数等)が具体的に確定していること

  ③ 成果が得られないときの対応(退職・減給・降格等)が明示されていること

2.雇用契約

  ① 上記①、②、③

  ② 試用期間の記載

3.入社後

  ① 業務提供の具体的状況(命じた業務内容)

  ② 行った支援(成果を出せる状況が整っていたか)

  ③ 募集要項・雇用契約との整合性(採用情報と業務が一致しているか)

では、事業主様から「即戦力採用した者が予定した成果を出せていない」との相談を行けた

場合、今後の対応を検討するために何か必要となるでしょうか。

  • 募集要項
  • 採用面接の面談記録
  • 雇用契約書(労働条件通知書)
  • 履歴書
  • 職務経歴書
  • 就業規則
  • 指導記録・入社後の面談記録
  • 成果が出ていない定量的資料

以上の資料を考査し、「雇用契約の債務(成果)が履行できていない」ことを証明して今後の対応を検討していくこととなります。