2024年12月


 早いもので、2024年も終わろうとしています。当事務所は、二人目のパート社員が9月に入社し、顧問先も新規2社を獲得することができ、順調に成長を実感しています。大きな事務所経営者からすれば、「たかが2社か」と笑われるかもしれませんが、当社にとっては満足のいく営業活動と成果であったと自負しています。社員が元気で、成長が見られれば、これ以上の成果はありません。

12月は「師走」と呼ばれ、教師も走り回るほど多忙な月という意味があります。しかし、現代では会社や個人のコミュニケーションがメールなどの電子媒体で行われるため、年末の挨拶回り自体が過去のものとなりつつあります。特に多忙という意識のないまま、年始を迎えることになりそうです。

社会保険審査会裁決事案:労務に服している期間の傷病手当金

事案概要

傷病手当金を受給し始めた後に退職し、一時的に病院内で軽微な事務作業を行った訪問看護師が、その後療養を継続した場合の傷病手当金が拒否された事案です。

健康保険法104条

被保険者の資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者で、その資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けている者は、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができます。

傷病手当金は、療養のため労務に服することができないときに支給されますが、「療養のため労務に服することができないとき」とは、以下の場合を含みます:

  1. 本来の職場における労務に対する代替的性格を持たない副業・内職に従事するとき
  2. 一時的に軽微な他の労務に服することにより賃金を得る場合
  3. その他上記に準ずる場合

在職中であれば、体調回復により職場復帰しても、同一疾病の再発であれば支給開始後通算1年6か月の間は傷病手当金が支給されます。しかし、退職後の傷病手当金は、一旦復職すると支給終了となります。今回の事案は、「一時的に軽微な他の労務」が復職に当たるかどうかで再審議された事案です。

審査会裁決

本件事案の「数日の出勤」は、「一時的に軽微な他の労務に服した場合」にあたり、出勤日以降の療養についても労務不能に該当し、資格喪失後の傷病手当の支給が継続していることとなります。

結論

本来の職場に該当しない労務不能の判断は、退職後の傷病手当継続の判断においても適用されます。

世相

10月の衆議院選挙では、国民民主党が大きく票を伸ばし、国策に影響力のある党になりました。

党の目標として、非課税枠103万円を178万円まで拡大する案を掲げていますが、社会保険被扶養限度額130万円の拡張も視野に入れているでしょう。実現すれば雇用の供給増大につながることは明らかです。企業にとっても労働力拡大につながり、収益拡大に大きく貢献する施策として大歓迎されることでしょう。

問題となるのは原資ですが、国民民主党は景気拡大による税収の増大効果を見込んでいるようです。今回は、予算の見直しや国有資産の有効活用といった抜本的施策で対応していただきたいものです。